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ミラ七題  [PR]

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ミラ七題  3.確信犯

 確信犯なのではないか、と直江は思う。
 彼は、直江を痛めつけることがまるで自分の使命のように感じているのではないだろうか。
 他者に対してはあれだけ許しを請い、卑屈になるくせに、直江に対してはまるで正義を掌る神かのように振舞う。
 いや、まさしくその通りなのかもしれない。
 天から直江の弱点を洗いざらい教わっているのではないだろうか。
 あの男はこんな罪を犯した、次はこんなことをやってのけた、と報告がゆくのではないだろうか。
 そうでなくては説明がつかないくらい、要所を突いてくる。
 少しでも隙を見せれば、今だとばかりに責め立ててくる。
 その度に直江は、どうにもできない感情の渦に揉まれて、必死に抗う手段を探そうとする。
 何とかあの卑劣な攻撃をやり過ごせないものかと、逃げ道を探し、抜け穴を掘る。
 だがもし、本当に天と通じているのなら。
 攻撃は、正当なものではないのか。
 ………彼を確信犯呼わばりする愚か者は、どうやら自分だけだったらしい。
 直江は抗う手を止めた。
 神より正義を授けられた天使に逆らう手立てなど、あるはずがないのだ。
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